口腔外科とは?

口腔、顎、顔面ならびにその隣接組織に現れる先天性および後天性の疾患を扱う診療科です。

この領域には歯が原因となるものから癌までさまざまな疾患が発生します。また交通事故やスポーツなどの外傷、顎変形症ならびに唾液腺疾患などの外科的疾患のほかにも、口腔粘膜疾患、神経性疾患、口臭症などの内科的疾患も含まれます。 この領域の異常は、食事や発音・会話がうまくできないなどの機能的な障害に加えて審美的な障害も生じます。治療により口腔・顎・顔面全体の自然な形態や機能が回復すると、顔全体がいきいきとし、健康的な美しさを取り戻すことができます。そのお手伝いをするのが口腔外科です。

以下に代表的な口腔外科で治療できる病気について解説します。

埋伏智歯

智歯(親知らず)は歯冠が完全に萌出することが少なく、歯肉で一部被覆されていたり、水平埋伏状態になっていることが多く認めらます。そのため、将来的に智歯周囲炎や骨膜炎などの炎症を引き起こすことがあるため、完全に萌出していない智歯に対しては積極的に抜歯を行っています。年間721例の智歯抜歯を行いましたが、そのうち半数弱の290例は2泊3日の入院で両側智歯を同時に抜歯しました。入院での両側同時抜歯は、通常の局所麻酔だけでなく静脈鎮静法を併用するため苦痛はかなり軽減され、また点滴薬剤による術後の腫れの防止も相まって,年々その頻度は高くなっています。
それ以外にも、歯並びの影響で発音がし難くなっていたり、歯にゴミが溜まりやすくなって虫歯や歯周病になる可能性が高かったのが大幅に改善することが可能です。


顎関節疾患

顎関節疾患には、主として顎関節症と顎関節脱臼とがあり、顎関節症214例、顎関節脱臼9例でした。顎関節症では症状に応じてスプリント療法、薬物療法、顎関節腔内洗浄療法などを行っています。顎関節腔内洗浄療法は、外来で実施できる比較的安全な顎関節の外科的療法で、開口障害や顎関節疼痛の改善に有効です。手術室での関節鏡を用いた洗浄療法も実施しています.顎関節脱臼に関しては迅速に整復処置を行っています。


顎顔面外傷

顎顔面領域の外傷性疾患も多く、最近1年間に顎骨や頬骨などの顔面骨骨折は23例、歯牙脱臼および破折58例、口腔領域の挫創136例でした。 顎骨骨折は鼻骨や眼窩周囲の骨折を伴っていることが多く、耳鼻いんこう科、形成外科、眼科など他科との連携により、検討会を行ったうえで治療方針を決め、観血的または保存的治療を行っています。歯牙脱臼においては受傷から治療までの時間が予後に大きく影響を及ぼすため、保存可能な歯牙であれば早急に歯牙再植を行い、暫間固定を行っています。口腔挫創においても早急に縫合処置を行っています。

インプラント

インプラント治療に際しては全例に術前のCT撮影を行い、それをインプラント用シミュレーションソフトにより解析し、最も適正な位置に適切なインプラントを埋め込んでいます。 またインプラントの術前治療として、上顎前歯部や上顎臼歯部などの骨量が不足しがちな場所では、積極的に骨移植術やサイナスリフト術を行っています。 インプラントの埋め込みは別の医療機関でと考えている方には、CT診断や骨移植などの術前治療のみも行っています。なおインプラントに関する治療費は、保険診療が適応されませんのですべて自費診療になります。


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